派遣事業の許可取消し事例が公表|報告書の未提出と提出期限に注意

派遣事業の法定報告について、このような不安はありませんか。
- 「事業報告書は提出しているが、ほかの報告書までは把握できていない」
- 「事業所が複数あり、誰がどの書類を提出しているのかわからない」
- 「決算後に提出する書類の期限を、毎年確認できていない」
派遣事業の法定報告について、このような不安はありませんか。
2026年9月25日、厚生労働省は、「関係派遣先派遣割合報告書」の未提出を理由とする労働者派遣事業の許可取消しを公表しました。
今回の事案は、単に提出期限を過ぎただけではなく、行政からの指導や指示を受けても提出しなかったことが問題となっています。
派遣事業では、報告書の提出漏れを放置すると、事業の継続に関わる重大な問題につながる可能性があります。
自社の報告書が適切に提出されているか、この機会に確認しておきましょう。
2026年9月、報告書の未提出を理由に派遣事業の許可取消し
厚生労働省が2026年9月25日に公表した事案では、派遣元事業主が「関係派遣先派遣割合報告書」を提出していなかったことなどから、労働者派遣事業の許可が取り消されました。
公表資料によると、次のような経緯がありました。
- 定められた提出期限を過ぎても、報告書を提出しなかった
- 労働者派遣法に基づく行政の指導に従わなかった
- その後の行政の指示にも従わず、未提出の状態が続いた
この結果、労働者派遣法第14条第1項第4号に基づき、許可取消しとなりました。
「一度提出が遅れただけで、直ちに許可が取り消された」という事案ではありません。
ただし、期限を把握していないことや、行政からの連絡への対応が後回しになることは、重大なリスクにつながります。
参考:厚生労働省「労働者派遣事業の許可を取り消しました」(2026年9月25日)
派遣会社が確認したい3種類の法定報告

労働者派遣事業では、主に次のような報告書について、提出期限や作成単位が定められています。
1.労働者派遣事業報告書(様式第11号)
毎年6月30日までに、原則として事業所ごとに提出します。労使協定方式を採用している場合は、労使協定の写しの添付も必要です。
2.労働者派遣事業収支決算書(様式第12号)
原則として事業所ごとに、事業年度終了後3か月以内に提出します。なお、所定の財務諸表の提出により、収支決算書の提出が不要となる場合があります。
3.関係派遣先派遣割合報告書(様式第12号-2)
今回の行政処分で問題となった書類です。こちらは事業主単位で、事業年度終了後3か月以内に提出します。
関係派遣先とは、派遣元事業主と一定の特殊な関係にある派遣先を指します。関係派遣先への派遣割合について、法令に基づき報告するものです。
「毎年6月の事業報告書を出しているから、ほかの報告書も大丈夫」とは限りません。
報告書ごとに、提出期限と提出単位が違うことに注意しましょう。
「提出しているつもり」でも見落としはありませんか?
書類の未提出を防ぐには、担当者の記憶だけに頼らず、社内で提出状況を管理することが重要です。
例えば、次のような状態になっていないでしょうか。
- 6月の事業報告書しか提出状況を確認していない
- 決算後の報告書は経理担当者に任せきりになっている
- 本社と複数事業所の提出分担が曖昧になっている
- 提出した日付や控え、電子申請の受付状況を把握していない
- 労働局からの照会や補正依頼を、誰が対応するか決まっていない
一つでも気になる項目があれば、まずは必要な報告書と実際の提出状況を照らし合わせてみましょう。

社労士コメント
代表:社会保険労務士 中 健次
報告書は、作成することだけでなく、「いつ・誰が・何を提出したか」を確認できる状態にすることが大切です。
担当者が変わっても提出漏れが起きない仕組みを整えておきましょう。
提出漏れを防ぐために、社内で確認したいこと

提出期限を管理する際は、少なくとも次の3点を押さえておくことをおすすめします。
①提出が必要な書類を一覧にする
様式第11号・第12号・第12号-2について、自社でどの書類を、どの単位で提出する必要があるか確認します。
②決算期と提出期限をひも付ける
6月30日が期限の書類と、事業年度終了後3か月以内の書類を分けて管理します。決算期が異なる会社では、期限も変わります。
③提出状況と行政からの連絡を管理する
提出控えや電子申請の状況を保存し、照会・補正依頼があったときに誰が対応するか決めておきます。
「担当者が分かっているはず」ではなく、会社として提出状況を把握できることが、継続的な管理につながります。
派遣事業の報告書について、社労士に相談できること
「自社の提出状況に漏れがないか分からない」「毎年の報告書作成が担当者の負担になっている」といった場合は、社労士へ相談できます。
例えば、次のような内容です。
- 自社に必要な法定報告書と提出期限の確認
- 過去の提出状況・控え・添付書類の整理
- 報告書の作成や提出に向けた資料の確認
- 複数事業所の報告書管理や役割分担の見直し
- 労働局からの照会・補正依頼への対応に関する相談
すべてを最初から任せる必要はありません。「書類は自社で作るが、提出前に確認してほしい」「現在の運用で問題ないか点検してほしい」という段階でも、確認すべき事項を整理できます。

社労士コメント
代表:社会保険労務士 中 健次
派遣事業では、許可を取得した後も、報告書や備付書類など継続的な管理が必要です。
提出漏れがないか不安な場合は、まず現在の管理状況を確認するところから始めましょう。
派遣事業の法定報告・管理体制は、早めに確認しておきましょう
今回の許可取消し事例は、法定報告の未提出を放置し、行政からの指導・指示にも従わなかったことが、重大な処分につながることを示しています。
派遣会社では、事業報告書だけでなく、決算後に提出する報告書や、事業所ごと・事業主ごとに作成する書類もあります。
社会保険労務士法人 ALLROUND渋谷では、労働者派遣事業に関する各種報告書の作成・提出、労使協定や備付書類の整備、行政対応などのご相談に対応しています。
会社によって事業所数や決算期、担当部署、現在の管理方法は異なります。まず現状を伺い、必要な報告書と見直すべき点を整理します。
「毎年きちんと提出できているか、一度確認したい」「今の管理方法で問題がないか不安」といった段階でも、お気軽にご相談ください。
提出期限を過ぎてから慌てるのではなく、現在の提出状況と管理体制を早めに確認しておくことが重要です。
些細なことでもお悩みがある場合は、お早めに当法人へお問い合わせください。
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